税理士飯沼英男コラム

法人課税は減税か増税か

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与党が、平成19年度の税制改正大綱を決めたとして、その内容が新聞に発表になりました。

その中に、「資本金1億円以下の同族会社の留保金課税の撤廃」というものがありますが、これは減税か?もちろん減税です。

しかし、平成18年の税制改正で「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入」という、とんでもない制度が導入されていて、それを考えると「・・・留保金課税の撤廃」などということでお茶を濁されてはたまらない! と思うのも事実です。

その「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入」というのは何か・・?

そもそも、特殊支配同族会社とは、同族会社の業務を主宰する役員及びそうした業務主宰役員の関連者が、その同族会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の90%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占める場合などに該当する同族会社  のことをいいますが、そうした「特殊支配同族会社」が業務主宰役員に対して支給する給与の額のうち、経費の二重控除に相当する部分(給与所得控除相当部分)とされる金額は、損金の額に算入しないぞ!という、制度(法人税法35条)のこと。

これは、もともとの発想は、会社を新たに設立するのが簡単になった会社法の改正に合わせて、「一人法人」の安易な税逃れを許さない、という発想です。

安易に○○コンサルタントと称する人々が、節税指南とうたって安直な一つ覚えのように活字などで指摘してきたことを、国側が封印してしまった、という格好の税制改正です。

本来は、新法の新規設立法人だけを対象にすれば良いはずのものを、旧来から、しかも雇用の受け皿になっている、本来的な中小企業も対象にした、一網打尽の税法! とも言えるもの。

こうしたことで大増税をしたあとの平成19年度の税制改正大綱ですから、どこかおかしくありませんでしょうか?・・という気になろうというものです。

そうした思いで異を唱える人があまりにも多いせいか、早速これの改正案も出始めてきたというニュース(平成18年12月26日現在)もありますが、予断は許せません。

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